9月23日(土曜日) 晴れのち曇り

・ 9:30 [三石] 本桐牧場


ウィナーズサークル

メジロティターン

この日も早起きする。100キロ近く離れた浦河まで日帰りで遠征するためだ。 早めの朝食を終え、すばやく支度を整えて出発。静内を過ぎて三石に入り、 しばらく走ったところで、最初の訪問地・本桐牧場に到着。 一年前に来たときも思ったことだが、ウィナーズサークルの立ち姿はやはり美しく、 写真うつりが良い。また個人的にメジロマックイーンのファンだったので、 親父のメジロティターンにじっくり時間をかけた。

帰り際、入り口近くの放牧地に注目すると、2歳馬らしきかわいい馬たちが4頭、 興味を持ったのか我々に近づいてきた。そのとき私はふと思い出したことがあった。 ここにドミナスローズという繁殖牝馬がいることは調べ済みで、 その現2歳になる子供がシルクの募集にかかっていた(シルク99-38)。 確か父ブラックタイアフェアーの芦毛だったはず。 そして目の前の2歳馬(たぶん)の中にも芦毛が1頭混じっている。こいつはもしや…。

 

・ 10:00 [荻伏] 日高SS


ヤエノムテキ
(奥はリンドシェーバー)

なにやら奇妙な縁を感じつつ、少し浦河方面に進んで、 日高スタリオンステーションに到着。今回は午前の訪問ということで 放牧姿を見学する。ここは海沿いの小高い丘にあって、青い空と遠くに青い海、 手前に緑の牧草地、その中に鹿毛や栗毛の馬がポツンポツンと佇んでいる。 国道の脇にしては騒音もなく静かで、 ときおり吹くさわやかな風が潮の香りを運んでくるのだった(ボロ積み場付近を除く)。 いやー、いいところだ。

途中にはヤエノムテキが馬房に戻り、 代わりにスーパークリークが放牧される場面があった。 同期のクラシック+天皇賞優勝馬の豪華リレー。 その様子を厩舎から首を伸ばして眺めるタイキシャーロックの姿があった。 君、引退してたのね。

・ 11:30 [三石] 三石ファーム


フェアダンス

当歳

フェアダンスと当歳

少し引き返して、前日連絡した時間に合わせて三石ファームへ向かった。 たぶんここだな、と思われるお宅には着いたが、看板等がないので確信がない。 玄関前で、ごめんくださーいと主宰。出てきた家の方に訊いてみると、 やはりここで正しかったが、今は食事中とのこと。お取り込み中すみません、 と恐縮するユメケイバーズ。 それでもご主人は、いいよいいよと、すぐに出てきてくださった。

ここのお目当てはフェアダンス。エリザベス女王杯ではやられたなあ。 …こいつがフェアダンスだよと馬を引っ張ってきたご主人は、 みんなこっちへ入んなさい、と我々を柵の中へ招いた。 えーっ!! いいんですかあ!? と大喜びでご好意に甘えるユメケイバーズ。

バナナが大好物というフェアダンスのお腹には フォーティナイナーの種が宿っている。 そのお腹めがけて父チーフベアハートの当歳が乳を飲もうと絡んでくるが、 フェアダンスは、あっち行きなさいと言うように蹴散らした。 「この時期になるともう乳は出ないし、噛まれて痛いだけからね」とご主人。 乳を飲みそこねた当歳は、今度は我々にいたずらしようと噛みつきにきた。 うひょひょ、かわいいー、と顔をくずす我々に 「そういうときは叩いて叱ってやるんだ。しつけが大事なのは人間も馬も同じ」 …ごもっともでございます。

その他、「どんな種馬を付けたらいいのか、毎年考えちゃうんだよ」 「若芽がうまいのか、短い草を選んで食べるみたい。残ってるのは長い草でしょ」 「向こうの山から鹿が出てくるようになってねえ」等々 (もっと刺激的な話もあったが)、現場の生の声をいろいろ聞いてしまった。 そして、どうだ薄いだろう、とご自慢のフェアダンスの皮膚に触れ、 ポーズをとらせて記念撮影。今までのどの牧場でもなかった体験だった。 夢のような時間を過ごさせていただいた三石ファームさんに感謝するとともに、 このスタイルが今後も続いて欲しいと願うのであった。

・ 12:30 [浦河] イーストスタッド

急激に怪しくなってきた空の下、昼飯抜きの覚悟で 浦河のイーストスタッドを訪問する。近道しようと策を弄しすぎて 狭いダートをがたがたと進むはめになり、苦労してたどり着いてみれば、 入り口には「本日見学中止」の札が。理由は不明だが、だめなものは仕方がない。 ここは去年に続いて2度もふられてしまった。次こそは見てやるぞと決意する。 時間が空いたので浦河ウエリントンホテルのレストランで昼食&休憩。

・ 14:00 [荻伏] 渡辺牧場


ナイスネイチャ

午後2時をめどに渡辺牧場へ向かって走り出すと、前を走るレンタカーが 我々の行きたい方へ行きたい方へと進んでいく。 まさかと思ったらそのまま渡辺牧場へ入っていった。車から降りてきたカップルは、 牧場の人を探そうとうろうろするが、見つからない様子。 我々も車を降りて辺りをうかがう。しばらくすると建物から人影が現れ、 「ナイスでしょ。あっちにいるから」と言い残してまた作業に戻っていった。

言われた通りに進んでいくと、ナイスネイチャがいた。 柵の前にはどうぞ読んでくださいとばかりに、 彼を題材にしたノンフィクション漫画が置かれていた。 ナイスネイチャは腹の下に盛んにたかるハエを後ろ脚で追っ払いながら、 我々を無視してばりばりと草を食べ続け、帰ろうとすると、 おもむろに水をごくごく飲んで、ぶふーっと息を吐いた。 どこまでもマイペースなのだった。

・ 15:00 [荻伏] 社台SS荻伏


サマーサスピション

スキーキャプテン

バトルライン

本日最後は社台スタリオンステーション荻伏。 地図から受ける印象よりも内陸にあり、行き過ぎたかなと不安になりかけたところで ちょうど見つかった。 早来の社台のように観光地化しておらず、素朴で静かな牧場であった。 中へ入っていくと、従業員の方がふたり、 ラジオで競馬中継を流しながら2頭の馬体の手入れをしている。 見たところ片方はサマーサスピションだろうが、もう片方は何だろう。 訊いてみるとミラクルアドマイヤとのこと。 フサイチコンコルドの下で活躍が期待された馬だ。

それから許可をもらい、さらに奥へ進むと、 アグネスカミカゼとスキーキャプテンがいた。ちなみに名札などはないので、 私のような素人は毛色と勘で判断するしかない。 このときは従業員の方に訊いて確認することができたが…。 スキーキャプテンはデビューの頃から白かったけれども、 今ではさらに完全な真っ白になっていた。

そこから横に入ったところにはバトルライン。 馬体には張りがあって若々しく、ぴかぴかの毛づやで、まだ現役でもやれそうだ。 しばらくするとこれらの馬たちは順に曳かれて厩舎に戻っていった。 それぞれの事情でGIに手が届かなかった地味な良血馬たち。 頑張ってもらいたいものだ。

・ 17:00 [新冠] レ・コード湯S

新冠まで引き返してこの日もレ・コード湯へ。 ここは男湯と女湯が交互に入れ替わり、昨日の男湯は洋風で今日は和風だった。 存分にまったりしたところで門別まで戻り、 街道沿いのうどん屋で五輪サッカーの日米対決を見ながらうどんをすすった。 それから宿へ戻り(今宵はキャンプファイヤーをやってる集団はいなかった)、 最後の夜を惜しみつつ飲む。 買い込みすぎて食べきれなくなったお菓子を残したまま宴が終わると、 三たび速攻で眠りに落ちた。


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