11月12日(日曜日) 曇り時々晴れ

朝6時。モーニングコールで目が覚めた。となりの布団を見るとまつまつの姿がない。 一足先に風呂に行ったのだろうか。 ゆーたろ と やまもとは完全に沈没したまま、ちょっと起きられそうもなかったため、 ひとりで露天風呂へ向かった。

寒い。とにかく寒い。そんな中、100段あるという階段を サンダル履きの不安定な足でひょこひょこ下っていった。 露天風呂にはまつまつが一人でつかっていた。 私も早く暖まろうと勇んで飛び込むが…ぬるい。とにかくぬるい。 ぬるい湯の中でしばらく紅葉を眺めていた。

これは帰りがけに別の浴場で暖まり直さなければ、と思って風呂からあがると、 体についた湯があっという間に冷たい水となり、 その拭き取りきれない分がしみた浴衣は、濡れタオルと化して体を冷やしまくった。 こりゃたまらん。逃げるように露天を立ち去り、 階段を駆け上がってひのき風呂に飛び込んだ。

部屋に戻るとじきに朝食がやって来た。卵が温泉玉子である他は一般的な旅館の朝食。 それとオリジナルデザートヨーグルト。 食べ終わったらすぐに支度を整えてチェックアウト。 下界までの悪路に手こずることを考えると、出発は早ければ早いほどよい。 去り際、やまもとが宿のおばあちゃんに「冬はここに来るの相当大変でしょうね」 と言うと、「簡単に来られたら不動湯じゃない」と切り返されていた。


不動湯温泉・玄関前

我々は車に乗り込み競馬場へ向けて出発した。最初の狭いダート道では 3回ほど対向車とすれ違ったが、すべてがたまたま道幅に余裕のある場所で出くわした。 なかなか運がいい。この運を競馬場まで持ち込めるとよいが。

8時40分に競馬場到着。最寄りの駐車場にもあっさり入れた。 開門前だったようで、入り口ゲートには行列ができていた。 並んでいる人たちがやけに殺気立っているなと思ったら、 開門と同時に必死の形相で入場券購入&ダッシュ。席取りしたかったらしい。 なぜか我々もつられるように席取りに参加、スタンド最前列の席を確保した。 そこはガラス張りの館内なので寒さをしのぐにもちょうどよい。

さて1レース、2レースときて、とうとう3レースのパドック。 我らがシルクシリウスは1枠1番で最初に姿を現した。やや落ち着きがない。 それに太いとかいう以前に体が全然できていないような。 愛馬でなかったら速攻で馬券対象からはずれていただろう。 まあ今回は成績うんぬんより無事に回ってきてもらえばいいや、 と割り切って写真を撮りまくった。


シルクシリウス

騎手が騎乗しても取り立てて変わるところもなし。あ、2枠の騎手は西原玲奈だ。 撮らなきゃ。などとやってる間にシリウスは本馬場へと消えていった。


シルクシリウス

返し馬では他の馬がさっさとスタート地点に集まる中、 シリウスだけは入念にラチ沿いを歩かせてスクーリングしている。 きっと今回はまったく競馬にならないんだろうなあ。どんどん期待は薄れていくが、 応援馬券は単勝と複勝をしっかり購入。 ゴール前で寒さにふるえながらスタートを待った。


シルクシリウス(返し馬)

やがてレースが始まった。シリウスは案の定スタートで出遅れ、 馬群の何馬身も後ろをとことこ付いていく。 3,4コーナーにかかっても差は開くばかり。 こうなったら騎手も無理に追わないよなあ。 ほら、直線ではただのキャンターになってしまった。 ていうか、歩いてるじゃん…? 何かおかしいぞ。これは故障じゃないのか?

騎手が止めるのに苦労しているのか、 実は致命的なアクシデントではなくて入線だけはするつもりなのか、 愛馬はなおもゴールへ向かって歩き続けた。 できれば後者であってほしいと願ったが、とうとうゴール直前、 我々の目の前で下馬してしまった。

我々は(あわよくば先頭で)ゴールを駆け抜けるはずだったシルクシリウスが、 思いもよらず馬運車に乗せられ運び去られていく光景をただ見届けるしかなかった。 近くにいた掃除のおばちゃんが「お馬さん、かわいそうにねえ」 と言い残して去っていったのがやけに思い出される。

浮かれ気分から一気に絶望へ突き落とされた我々であったが、 その後も競馬を続け、最終レース後に福島競馬場をあとにした。 渋滞する時間帯を避けるべく温泉に立ち寄ることにし、 東北道を郡山南インターで下りて、大露天風呂が自慢の「のんびり湯」へ向かった。 確かに露天風呂はプールのように大きかったが、お湯がぬるい。 ぬるいを通り越して、水の中にときどき温水塊がただよっていると言った方が近い。

温泉の後はファミレス風の麺類屋でそばを食べ、再び東北道に入る。 もうすっかり渋滞はなくなり、あっさりと帰り着いたのだった。

今回の福島ツアーは悲喜こもごも。天国と地獄を見た。 シルクシリウスは覚悟していた通り、 予後不良で安楽死処分となったことを翌日知った。 それでも愛馬が出走するとなれば、これからもこりずに出かけていくんだろうなあ。
(終)


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